2013年 09月 07日
ドビュッシーのエレジー
2分程の短い曲だけれど、その深い闇にゆっくりと沈みこんで行くような、ため息のような佇まいは、一度聴いたら忘れる事が出来ない。
その和音は、まるでドビュッシーが未来に来てビル・エヴァンスのソロ・アルバムの名作「alone」を聴いてその影響を受けて作曲したかのように、蒼白く孤独な影をまとっている。
音達は冥界を目指すかのようにひたすら下降していく。
最後の音は解決されぬまま静かに消えて行く。
今夜のように心屈して、何一つやりたくないような晩夏の夜に、その音はそっと寄り添う。
時間は後戻りすることなく、失われたものは永遠に戻ることはないのだろうか...