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パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム~サイモン&ガーファンクルの歌詞を読む~

サイモン&ガーファンクルの曲「スカボロー・フェア」の中でまるで呪文のように繰り返される「パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム」という歌詞のことはずっと前から(中学生の頃からだから40年以上)気になっていた。

だから、昨年NHKのカルチャーラジオのテキスト『サイモン&ガーファンクルの歌を読む』を書店で見かけたときに「買おう」と思っていたのに、うっかり買いそびれてしまい年が変わり、次のテキストのサイクルになってしまったので書店ではみかけなくなってしまった。

それでもnumabeさんのブログでこのテキストの紹介を読んで「やはり買わなくては」と思い捜し歩き、昨日京都の本屋で発見し、京都からの帰りの新幹線の中で一気に読み、自宅に帰ってからも読み続けた。

これはとても興味深いテキストだった。

外国のポップスの歌詞をこんなに真剣に読んだのは初めてのことだけれど、ポール・サイモンという人は本物の詩人であると今更ながら気づいた。

その歌詞は、どこか黙示録的であり、言葉を象徴的に使っているので、一読しても意味がつかみづらい。

例えば「スカボロー・フェア」。
この曲は、イギリスに伝わる口承のバラッド(バラードではなく「物語詩」という意味)を元に、二人が作り直したもの。

この曲の歌詞は、バラッドの部分と詠唱の部分からなる。

最初の部分の歌詞は、

 スカーバラの市に行くのかい、
 パセリ・セージ・ローズマリー・タイム
 あそこに住んでいるあの人によろしく、
 かつてあの人は本当の恋人だった。

とスカーバラに住むある女性への伝言だけれど、伝言内容は「縫い目もなく針の跡も見えないようなシャツを作るように言ってくれ」などと実現不可能なものばかりになっていて、伝言を託された人は一切返答をしない。
曲の中で4回繰り返される「パセリ・セージ・ローズマリー・タイム」も呪文のようで何を意味するのかわからない。

テキストによると「このバラッドにはキリスト教以前の原始信仰の跡が残り、語り手は異界の住人、つまり異形のもの、あるいはフェアリー(実は悪魔のようなもの)であり、聴く者を異界へと誘い込もうとしている」らしく、「繰り返される薬草の名前は、異界人の言葉に対する魔除けのような役割を果たす」とのこと。

ちょっと怖いけれど、この曲が持つなんとも神秘的な雰囲気を考えるとわかるような気もする。

更にこの曲の詠唱部分の歌詞は、戦争のイメージに満ちている。
例えば、

 丘の中腹にはあちことに葉が茂る。
 墓を洗うのは銀色の涙。
 1人の兵士が銃を磨く。

こんな歌詞の詠唱が3ヶ所に織り込まれており、バラッドと詠唱部分はまったく異質の歌詞で、それがかみあわされることで不思議な「異化効果」が現れる。

このテキストでは、他にも有名は「コンドルは飛んでいく」や「ミセス・ロビンソン」などについてもその歌詞を精緻に読み込んでおり興味はつきないのだ。




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Commented by k_hankichi at 2014-01-31 07:08
むしょうに聴きたくなりました。パセリはパーセリと発音する、と教えられた思い出とともに。
Commented by およう at 2014-01-31 11:12 x
静かに楽しそう^^
Commented by maru33340 at 2014-01-31 21:28
はんきちさん
おようさん
久しぶりに聴いて、とても懐かしく美しい曲の数々に心打たれました。
by maru33340 | 2014-01-30 20:51 | 日常 | Trackback | Comments(3)

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