2014年 03月 17日
ようやっと観た映画『ハンナ・アーレント』と「凡庸の罪」について
多くの人がレビューで、映画の最後の7分間のスピーチについて書いていて、やはり今日そのシーンを観て鳥肌が立つ思いだった。
ナチスの要人アイヒマンの裁判傍聴記録において、アーレントは、アイヒマン個人は、特別な悪魔ではなく、無思考のまま組織の命令に従う「凡庸の罪」こそ本当の問題であると書く。
このアーレントの主張は、周囲の人々からは、アイヒマンを擁護したものとして反発される。
またアーレントは、ユダヤ人の一部にナチスに加担した者がいることも指摘し、ユダヤ社会からも非難される。
それでも、彼女は「思考すること」を止めず、「思考することをやめること」こそがやがて「人類の罪」に加担することに繋がると主張する。
振り返って、組織に生きる僕らは、いけないと知りながら、それは間違っていいると思いながら、その場の空気に支配されて、自ら思考することをやめてしまってはいないか、言わなければならないことを言わずに済ませていないかと自問する時、忸怩たる思いにかられてしまう。
作られたヒーロー、ヒロインの物語に熱狂し、その仮面が剥がれれば、手のひらを返したように鞭打つ最近の一連の社会現象を観ていると、この映画の問いかける問題の射程は、深く広く、繰り返しそこに立ち戻らなければならないと改めて痛感するのだ。
現代社会に総て繋がっています。こわいですねこわいですね・・・、教訓としなければいけないと思います。