人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ドビュッシーそして大観

ドビュッシーそして大観_f0061531_22525423.jpg今日の日経新聞のコラムに杉本秀太郎氏が「ピアニスト」というエッセイを寄せていた。
その文章の中で氏は、カティア・ブニアティシビィリとダニール・トリフォノの二人の若いピアニストについて「かれらの音は、ピアノのなかにもともとこもっていた音にかれらが触ったがために、音が起きだして鳴響となったように聞こえる。」と書いている。

氏は「ピアノという楽器を「音を出す装置」としてではなく「音に触る装置」としてとらえた時に、ピアニストとしての「私」は消えて、代わりに音が立っている」と書き、アンジェラ・ヒューイットをそうしたピアニストの系譜に位置づける。

そして、彼女の弾く、ドビュッシーのワルツ曲「レントより遅く」の官能性について、「ピアノを「音に触る装置」として扱わなくては実現しなかった音楽」と語るのを読んで、アンジェラ・ヒューイットの弾くドビュッシーアルバムを探し出して、聴いているうちに杉本の言葉の意味がなんとなくわかるような気がしてきた。

そこにはくっきりとした輪郭ではなく、まるで空気のようなアトモスフェアが漂い浮遊するような感覚に包まれる。

そうして、そのドビュッシーを聴きながら、僕は突然横山大観の絵画のことを思い出した。

特に「朦朧体」と呼ばれた時代の絵画の持つ空気に、アンジェラ・ヒューイットのドビュッシーはとても近いように感じるのだ。


Commented by k_hankichi at 2014-03-23 23:51
ヒューイットのドビュッシーの朦朧体。吉田秀和的な表現だなあ。聴いてみたくなりました。
Commented by maru33340 at 2014-03-24 06:01
アンジェラのドビュッシー名盤なり。お薦めです。
Commented by k_hankichi at 2014-03-24 23:31
僕も新聞記事、読みました。杉本さん、いいねえ!
Commented by maru33340 at 2014-03-25 06:25
良い記事でしょ(^^)
Commented by およう at 2014-03-25 20:39 x
ようやく図書館に行って読んできました。いい記事です^^
ついでに大観の夜桜の画集も。。、こちらの朦朧体桜の作品、いいですねー。
Commented by maru33340 at 2014-03-25 21:03
おようさん
図書館までご足労いただき、恐れ入ります(^^;
大観の夜桜、良いですよね。
Commented by k_hankichi at 2014-03-30 18:54
「郷(さと)さくら美術館」に行ったあとに、maruさんのブログのことを思い出して、もう一度眺めてみました。大観も、夜桜なのですね。それも朧月夜の。描いている人はなかなか少ないよね。先に紹介した「郷さくら美術館」でも、こういった夜桜を最近の画家が描いたものが数点あります。時間があるときにぜひ。
by maru33340 | 2014-03-23 22:55 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(7)

音楽・本・映画などについての私的な感想


by maru33340
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31