2014年 10月 19日
NHKスペシャル「カラーでよみがえる東京~不死鳥都市の100年~」は素晴らしい番組だった
http://www.nhk.or.jp/special/phoenix/
関東大震災、東京大空襲、何度も壊滅的な打撃を受けながら復活をとげてきた東京の姿は、カラーの映像で復元されると臨場感を持って身に迫ってくる。
印象的だったのは、第1に戦後直後までの日本人の笑顔が美しいこと。
どんなに貧しくても日々の生活をたくましく生き抜き工夫を凝らし、楽しもうとする明るい人々の姿はすがすがしい。
第2に深く胸を打たれたのは、戦前の学徒動員の大集会の会場であった神宮外苑の競技場が、1964年の東京オリンピックの開会式の会場であったと改めて知らされたこと。
かつて二度と祖国に戻れぬと知って戦地に赴いた若い人々が悲愴な想いで歩いたその場所を、二十数年後に世界中の若きアスリートが華々しく行進している姿は、カラー映像であるからこそ一層生々しく、時の移り変わりの残酷ささえ感じた。
ナレーションで語られる杉本苑子の「過去は今につながり、今は過去につながっている。そのことが私には恐ろしい。」という言葉は重く胸に残った。
その矛盾のひずみのもたらす痛みを、土地に刻まれた歴史の重みを、かつて国を信じ犠牲になった若い人々の無念を忘れてはならないと思い、しばし言葉を失った。
明日への希望に繋がるからなのか、それとも希望がなくとも一日一日を過ごせることがただただ幸せと感じたのか。