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こわがらない

今日は半日本棚の片付け。

探していた茨木のり子の詩集が見つかったので、夕食後眺めていたら「こわがらない」という詩に出会った。
その詩の冒頭はこんな言葉で始まる。


一芸にたけた人は
物をこわがらない
老練の仕立屋は
おそれげもなく高価な布をザキザキ切る
突き抜けた画家は
純白の画布の前でたじろがない
鼻息まじりの落書きにみえる
すぐれた外科医のメスは
静かにすばやく暗がりのお医者さんごっこのように何気ない
フルートの名人の
無造作な第一音 霞くうほどの
魅力的な俳優は
空間をこわがらない むしろ空間が俳優に吸いこまれ
一点の火となって燃える
おそるべき慎重さは消されたように見えず
大胆不敵さばかりが
さっと波立ってみえるのだ


ちょうどセルゲイ・ハチャトリアンのバッハのシャコンヌを聴いていて、最初の一音がいかにもさりげなく始まるのを聴いていた所だったので、「ああ、なるほど」と合点がいったのだ。
Commented by k_hankichi at 2014-11-27 23:03
ハチャトリアンのバッハは、なにかもう雲の上から聴こえてくるような淡さがあり、それは脆いようでしかし、しっかりと存在している、冬の朝の淡雪のようなのです。
Commented by およう at 2014-11-27 23:08 x
マイブログを記することも私にとっては大胆不敵に(一芸に秀でていなくても)・・・(^◇^)
Commented by maru33340 at 2014-11-29 18:44
はんきちさん
これはやはり大変な名演なりね。
おようさん
いやいや融通自在の境地のようにお見受けしとります。
Commented by およう at 2014-12-02 20:20 x
融通自在の境地なんてとんでもございません^^でも面白いお言葉として受け止めました^^;
叔父様のご逝去、はんきちさんのコメントへので知りました。ご冥福をお祈り申し上げます。
by maru33340 | 2014-11-27 20:03 | 未分類 | Trackback | Comments(4)

音楽・本・映画などについての私的な感想


by maru33340
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