2015年 05月 08日
甘美の極みのベートーヴェン
ラズモフスキー・セットと後期の傑作5曲にはさまれて、規模も小さくあまり目だたない曲だけれど、随所に見られる小津映画の伴奏音楽のような歌心に満ちた旋律が心地好く、ベートーヴェンとしては頑張りすぎない大人の余裕を感じさせる所が良い。
こういう曲は、あまりシャープな演奏は似合わないので、僕の最近のお気に入りはモノラル録音によるウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団によるもの。
少しグリッサンド気味の弦の響きは甘く響き、アンサンブルもそんなに厳格ではなく、気のあった仲間が集い楽しむという味わいがある。
あの「運命」・「田園」初演の翌年に書かれたので、それらの旋律を彷彿とさせる部分もあり楽しく、古い録音によるウィーンの弦の響きで聴いていると、甘美な菓子を味わっているような気分になる。
ウエミンのシリーズの方を聴いてみます。