イギリス風吉田健一

イギリスの随筆家、ロバート・リンドのエッセイを読んでいて、そこに書かれていることが何とも吉田健一風で嬉しくなってしまった。
こんな文章。
(少し健一風に翻訳)

「たいていの人にとっては、自分たちは結局死ななければならないのだと知っていても、そのために現在生きているという喜びの度合いが減るわけではなくて、詩人にとっては、やがてはしぼむ運命をもった花や、あまりにもはかなく過ぎ行く春をながめるとき、世の中が美しく見えるので、五月の自然の美しさも、これをながめているあいだにも美しさが失われていくことを知っているから、いよいよ詩人の心を動かす。」

その喜びをいつまでも味わうことが出来ないと知っているからこそ、ひとしおそれを愛惜するという感じ方が、いかにも吉田健一なんだなあ。
[PR]
トラックバックURL : https://maru33340.exblog.jp/tb/24326396
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by およう at 2015-08-03 12:53 x
暑い毎日、如何お過ごしでいらっしゃるか、気になっておりました。暑中お見舞い申し上げます^^
吉田健一風エッセイ素敵です。この方の本、読んでみたいです(^・^)
Commented by maru33340 at 2015-08-04 06:29
暑中見舞いありがとうございます。
さすがに今年の暑さはこたえ、長い文章を書くのもついつい億劫になり、ブログも開店休業気味です(>_<)
Commented by k_hankichi at 2015-08-04 19:51
「夏には夏の風情があると思ひながら、この朝に起きてみると、そこはもう昼のやうに暑く、それは英国が昭南島を統治してゐた時代のシンガポオルのそれのようで、だからラツフルズホテルと云つたかその軒先にあるバアの椅子に腰かけて呑んだシンガポオルスリングを思ひ出し、それをつくらうとジンを探しているうちにいつの間にか煽つているのがいつものオオルドパアだつた。そういうふうにして居るうちに、陽の光はどんどんと高くなつてゆき、ウヰスキイの氷の欠片が輝く光が増して、呑み続けるといつの間にかそこがマラツカ海峡の珈琲色の海の波間に浮かんでいるやうになつてきていると内山が気づいたのが夕方だつた。」
by maru33340 | 2015-08-03 11:11 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)

音楽・本・映画などについての私的な感想


by maru33340
プロフィールを見る
画像一覧