2015年 12月 27日
マーラー、バッハと出会う(2)
それに対して、アルマは、また「あなたはブルックナーとは違うわ」と言い返したそうだけれど、どうもここはアルマの方が正解のようだ。
どう聴いてもその終楽章は、もとからある木に、違う木を挿したしたような違和感が否めないから。
アルマによれば、その頃マーラーはカトリックに改宗し、その神秘性に過剰に傾倒していたそうな。
なるほど、交響曲五番のフィナーレの人生を肯定するかのような明るいコラールに、どうも無理があると感じる背景には、マーラーのカトリックへの改宗と(どこかに無理がある)傾倒が潜んでいそうな気配が濃厚になってきた。
(交響曲七番の最終楽章の唐突感もそう)
バッハやブルックナーは、紛れもなく生まれながらにして深い信仰を持ち、一生それを持ち続け音楽で自らの信仰を表現したけれど、マーラーのカトリック信仰には、どこかにユダヤ教からの改宗(強いられたとまでは言わないけれど)に伴うねじれのようなものを感じてしまうのだ。