2015年 12月 30日
まだクリスマス・オラトリオを聴いても良いから
クリスマスと言うと日本ではお祭り騒ぎのイメージが強いけれど、ヨーロッパのクリスマスは違うと吉田英和さんが書いている。
「(ヨーロッパの)北国にいると、クリスマスというものの逆説的なありかたとおもしろ味というか、およそキリスト教という宗教に充満している逆説が痛切に響いてくる。世界に希望と光をもたらす人が生まれるのは、夜が長くそうして寒さが厳しい時間、つまり生命にとって一番苦しく暗い時刻であり、その人は万能の救い主であるのに、このうえなくかよわく、なんの防衛力もない赤子として、このうえなく貧しいところで生まれる。光は闇から、そうして力は無力から生じてくる。」
この言葉を読んで、最近バッハの受難曲を聴きながらイエスという人とその物語のまわりをぐるぐると徘徊していた僕は、ほんの少しだけ、その人に近づいたような気がした。
こういうことなのですね。音楽を聴くことで、このことを祈る気持ちが更に透明になっていく。