1933年1月30日、ナチ党党首のアドルフ・ヒトラーが政権についた。
同年3月15日トーマス・マンは改めて日記を書き始める。その時マンは58歳。日記はマンが80歳で亡くなる1955年まで書き続けられた。
彼はヒトラー政権を痛烈に批判し亡命生活を強いられ、戦後もアメリカにとどまり執筆や講演活動を続ける。
池内紀によるこのエッセイはトーマス・マンの日記のエッセンスから激動の時代とマン自身の姿を描き出し興味が尽きない。
時代との闘いぶりを縦軸に、常にダンディーだった彼が写真を撮られる事が大好きで周到な準備をして撮影に臨む姿などのエピソードも楽しい。