2017年 10月 08日
岡田茉莉子と伊藤野枝と
友人の薦めで女優岡田茉莉子の自伝『女優 岡田茉莉子』を読み、彼女が大変な文章家だと知る。
その女優としてのプライド、気性の激しさは潔い程だ。
そんな彼女が夫である映画監督吉田喜重の作品『エロス+虐殺』について語るのを読みながら、この作品のモデルである大正時代のアナキスト伊藤野枝という人物に興味を持ち、昨年発売され話題になった栗原康の『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』を読む。
栗原康の独特の文章は好き嫌いが分かれるかも知れないけれど、僕はその文体のリズムが気に入り一晩で一気に読了した。
伊藤野枝は大正12年関東大震災の直後に大杉栄と共に甘粕正彦率いる憲兵隊に拘束され虐殺された。
その時彼女は28歳。
わがままに、自らの信じるままに誰にもその心を支配されることなく生きたその人生もまた激しく潔く心打たれるものがあった。
吉田喜重は岡田茉莉子と伊藤野枝の二人の女性に相い通じるものがあることを見抜いていたのだろう。