新・クラシック音楽と本さえあれば

maru33340.exblog.jp
ブログトップ
2018年 01月 13日

ぼくもいくさに征くのだけれど

f0061531_16221924.jpg

詩人、竹内浩三は三重県宇治山田市の生まれ。
彼の通った宇治山田中学の先輩に小津安二郎がいた。
1940年日大専門部映画科に入学し、伊丹万作に私淑し詩と絵の創作をはじめるが、1944年フィリピンの戦場へ送られ1945年4月9日戦死する。

彼の残した詩「ぼくもいくさに征くのだけれど」はこんな詩だ。


ぼくもいくさに征くのだけれど


街はいくさがたりであふれ
どこへいっても征くはなし 勝ったはなし
三ヶ月もたてばぼくも征くのだけれど
だけど こうしてぼんやりしている

ぼくがいくさに征ったなら
一体ぼくはなにするだろう てがらたてるかな

だれもかれもおとこならみんな征く
ぼくも征くのだけれど 征くのだけれど

なんにもできず
蝶をとったり 子供とあそんだり
うっかりしていて戦死するかしら

そんなまぬけなぼくなので
どうか人なみにいくさができますよう
成田山に願かけた


この詩の中の「けれど」には今読むと万感の想いが秘められているようで、胸が痛むような気がする。

映画『生まれてはみたけれど』を撮り、自らも戦場に送られた経験を持つ小津安二郎は、中学の後輩のこの詩の「けれど」をどのような想いで読んだろう。
[PR]

by maru33340 | 2018-01-13 16:22 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
トラックバックURL : https://maru33340.exblog.jp/tb/29251899
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by k_hankichi at 2018-01-13 17:36
・・・となったけれど、という事情は、現代でもたくさん沢山あるなあ。小津の映画を観た著者も、その気持ちに触発されての題名だろうか。
Commented by Oyo- at 2018-01-13 17:51 x
胸が締め付けられます。
この征くは出征の征ですね。戦争は残酷です!
心優しい詩になお更・・・
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-13 22:23
ビンタを食らって、しおたれて、お母さんのことを考えて、、死んでいったんだ、蝶と遊ぶ暇なんかあるもんか。
Commented by maru33340 at 2018-01-14 07:17
皆さま
先日読んだ『不死身の特攻兵』も思いだし胸塞がるような気持ちになります…


<< 椅子の本      静かで豊かなバッハのように >>