ようやく読了した『雪の階』のこと

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奥泉光氏の大著『雪の階』をようやく読了。

これは物語の企みに満ちた実に面白い小説だった。

昭和初頭、二・二六事件前夜。
華族の娘である笹宮惟佐子は、親友・宇田川寿子の心中事件に疑問を抱き、その謎を追い始めるが…

まずはその設定が三島由紀夫風で、いかにも彼が書きそうな美文が随所に現れるのも楽しいし、劇画的に描かれる惟佐子の父の政治家や婚約者の姿は丸谷才一の小説を思わせる。

一人の女性を愛する二人の男の関係性には夏目漱石の『こころ』の構造が透けて見える。

そして鉄道のトリックを中心に据えたミステリーの部分は松本清張そのもの。

そんな様々な文学作品へのオマージュを楽しみながらゆっくり読んだのでなかなか読了しなかったけれど、小説全体の構成は実に見事で破綻がない。

久しぶりに物語の世界を生きる喜びに満たされる時間を過ごしました。
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Commented by k_hankichi at 2018-04-22 13:11
感慨が改めて伝わってきました。この作品、いまのところ、今年のベストです。
Commented by maru33340 at 2018-04-22 13:32
うん僕もベストだな。
Commented by saheizi-inokori at 2018-04-22 22:26
今、図書館予約しました、今年中に読めるかな。
Commented by maru33340 at 2018-04-22 22:30
さへいじさん
読み応えあります。お楽しみに。
Commented by Oyo- at 2018-04-25 11:11 x
読みたいと思っています^^
Commented by maru33340 at 2018-04-25 21:56
おようさん
是非!
by maru33340 | 2018-04-22 10:50 | お勧めの本 | Trackback | Comments(6)

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