2019年 03月 16日
「山本直純がやってきた」
先日から聴き続けているジョージ・セル指揮によるウィンナ・ワルツ集には、ヨハン・シュトラウス2世による「常動曲」が収められている。
毎年恒例のニューイヤーコンサートでもお馴染みのこの曲は、また(ある程度以上の年齢の方にはお馴染みの)山本直純司会・指揮による番組『オーケストラがやってきた』のテーマ曲としても有名だから、あのサビの部分に来ると山本直純がダミ声で歌う「オーケストラがやってきた~」という声が聞こえてきてしまい、何となく彼の赤いジャケットを思い出していた。
そして今夜、彼を取り上げた『山本直純 音楽の底辺を広げた男』という2時間のドキュメンタリー番組があると偶然知り、見終わった僕は山本直純という人のことを何も知らなかったなあとため息をついた。
若くから天才の名をほしいままにし、小澤征爾や岩城宏之と深い友情で結ばれ、海外のオーケストラを指揮することを夢見た彼は、視力の低下によりその夢を諦めざるを得なくなる。
海外に向かう小澤征爾に彼は「お前はピラミッドの頂点を行け。俺は音楽の底辺を広げる」と語ったという。
その後の彼は、時には自ら道化となることも厭わず「男はつらいよ」などの数々の映画音楽や童謡の作曲も手がけ、クラシック音楽の普及に生涯を捧げた。
69歳という若すぎる最後は悲しいけれど、(山本直純に風貌がそっくりな)二人の息子さんが、父の後を継ぎ音楽家となっていると知り、自分のことのように嬉しくなったのでした。
Es ist wahr.