2007年 03月 17日
『カラヤンとフルトヴェングラー』(中川右介)
この本の帯にあるようにまさに、
「最も美しい音楽をめぐる、最も醜い権力と野望の物語」
であり、その時代背景をコンパクトに取り入れながら一気に読ませてくれます。
政治的にあまりに無防備で、闘病を拒むような形で「実質的な自殺」とさえ呼ばれるフルトヴェングラーの最後、権謀術数をつくしながら終生フルトヴェングラーの亡霊から逃れることが出来なかったカラヤン・・・
果たして一人の指揮者として本当に幸福だったのはどちらだったのか・・・
いろいろな事を考えさせてくれます。
時折登場するブルーノ・ワルターの大人としての行動・発言が、この野望と挫折に満ちた愛憎劇の中で一服の清涼剤のようであり、ワルターこそが「幸福な指揮者」であったのかも知れないと感じたりします。
カラヤンとフルトヴェングラー
中川 右介 / / 幻冬舎
ISBN : 4344980212
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