2008年 12月 07日
追悼 加藤周一
僕にとってこの人はなんといっても『日本文学史序説』の人。読み返す度に発見がある、まさに高峰のような本。富永仲基や石田梅岩の事をこの本で初めて知り日本には大変な思想家がいたものだと感心し、文学史の中で彼らのような思想家にまで射程に入れる加藤周一さんの守備範囲の広さに舌をまいた。
個人的には一つの思い出がある。
加藤さんの『日本文学史序説補講』を読了し、あまりに面白かったので父に葉書を書いて一読を薦めた。その直後に父は突然吐血し入院した。一旦回復した父が最初に母に頼んだのは、『日本文学史序説補講』を読みたいので買ってきてくれという事だった…
その後容態が急変し一月経たない内に急逝し、この本を読む事はありませんでした。
あれから間もなく二年が経とうとしています…
加藤周一さんのご冥福をお祈りします。
コメントありがとうございます。「書あるかぎり不滅」まさにその通りですね。
知的好奇心が深いところから生じられていた御父様だったのですね。痛切な、しかし素晴らしい思い出だと私も思います。