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2018年 02月 13日 ( 1 )


2018年 02月 13日

傑作『スリー・ビルボード』を観る

昨日アカデミー賞有力候補との声も高い映画『スリー・ビルボード』を観る。

冒頭の朝霧に三基のビルボードが浮かぶシーンで「これは傑作に違いない」と確信し最後まで堪能。

これはアカデミー賞レース云々を超えた歴史に残る名作でした。

この映画を版画家の柄澤齊さんが自身のfacebookで紹介されており、全く同感で僕がつけ加えることはないので、ご本人の了解を得て以下シェアさせていただきます。

是非映画館で!

☆☆☆☆☆

評判の『スリー・ビルボード』を観た。

導入部、田舎外れの朝靄のなかに三基のビルボード(立て看板)が浮かんでいる。
そのシーンだけで、傑作に出合ったという確信に導かれる。

朽ちかかって見捨てられた三基のビルボードを1人の母親が借り、文字だけのメッセージを掲げる。

彼女の娘はそこでレイプされ、焼き殺された。だが犯人は挙がらない。

ビルボードの一枚目に娘が無惨に殺されたこと、二枚目に犯人がまだ捕まらないこと、三枚目には捜査責任者ウィロビー保安官への挑発の言葉を掲示する。

「HOW COME, CHIEF WILLOUGHBY?」

物語はそこから始まる。

狷介で、不寛容で、節を曲げない人間、ほとんど戯画的といっていい人間ばかり登場する。
みな見事な演技を見せるが、母親ミルドレッドを演じる主役のフランシス・マクドーマンドの素晴らしいこと!

彼女が保安官に扮し、彼女の夫が監督したあの『ファーゴ』と表裏をなすキャラクターといいたくなるほどの名演。
女優として均衡のとれた知性と運動神経、顔の筋肉のわずかな動きやこわばりに、なにもかも忘れて見惚れる。

筋の展開は控えなければならない。
犯罪捜査の映画ではなく、人の強さと脆さ、不寛容とその緩やかな寛解を、剛直なユーモアにまぶして描いた映画であり、事件の行く末も、人と人の関係も、最後は大きな含みを残したまま幕を閉じる。

書きたいことはまだまだあるけれど、蛇
映画のなかに掲げられたビルボードのメッセージ、それもまた『ファーゴ』の、雪の道沿いに立つ巨大な看板彫刻の象徴性に重なっていつまでもまぶたに残る。

マーテイン・マクドナー監督。
幾重にも打ちのめし、考えさせてくれる映画である。

☆☆☆☆☆
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by maru33340 | 2018-02-13 07:19 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)