新・クラシック音楽と本さえあれば

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2018年 06月 10日

「今日は台風が近づいているから本を読もう」

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東海地方にも台風は接近中で、まだ雨は降っていないけれど激しい風がマンションを揺らし始めた。

こんな日は部屋に引きこもり、先日入手した松岡正剛さんの『千夜千冊』を再編集して文庫化された『千夜千冊エディション』をパラバラ眺めよう。

資生堂名誉会長の福原義春さんも「21世紀の日本人は読まねばならぬ」とおっしゃっていることですから。
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# by maru33340 | 2018-06-10 10:07 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2018年 06月 07日

昨日の誠 今日の嘘

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東海地方も昨日梅雨入りし、昨日今日はいかにも梅雨らしい雨模様。

今日は朝一番の新幹線で日帰り出張に向かう。
窓から見える山並みには低く重たい雲がたなびく。

何となく気だるい気持ちで窓からの景色を眺めながら紫陽花をうたった正岡子規のこんな句を思い出した。

「紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘」

日々移り変わる紫陽花の色に人の心の変わりやすさを重ねたのだろうか。

写生を提唱した子規には珍しい彼の心模様が透けてくるような少し不思議な句です。
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# by maru33340 | 2018-06-07 07:54 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2018年 06月 05日

地球の重さを

この間のフジジテレビの『ぼくらの時代』という番組に建築家の安藤忠雄さんが出ていて(あの独特のダミ声の大阪弁で)こんな事を言っていた。
「私は、事務所に新しく入ってくる人に「あなたは地球儀を持っていますか?」と聞くんです。大概の人は持っていないから「自分で作って持って来なさい」というと、それぞれボールや粘土で作った地球儀を持ってくる。そういう経験を通して世界はどうなっていて、日本がどこにあり、どんな大きさなのかを改めて知るのです」
記憶で書いているから少し言葉使いは違うかも知れないけど、安藤さんは概念ではなくリアルなものとして地球というものを感じなさい、という事を言いたかったのかも知れない。

そんな安藤さんの言葉を思い出し、今、南フランスを徒歩で行脚している先輩の日々のフェイスブックの投稿を見ながら「先輩は今自分自身の足で地球を感じているのだなあ」と思い、果たして僕は今自分自身の身体で地球を(そこに今生きている自分を)感じているだろうか、とふと自省した。
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# by maru33340 | 2018-06-05 19:33 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2018年 06月 03日

平野啓一郎の『ある男』のこと

友人の薦めで先日入手した雑誌「文学界」に掲載された平野啓一郎の小説『ある男』を昨日一気に読了した。

とても良かった。

「あり得たかも知れない別の人生」というテーマは小説や映画では比較的よくあるテーマだけれど、ここまでリアリティーを持って描かれたことはあまりなかったと思う。

謎解きの要素もあるので詳しくは書けないけれど、じわりじわりとヴェールを剥がすように人の過去と心の闇が明らかになっていく物語には力がある。

上質の映画を観ているような味わいもあり「成瀬巳喜男監督によって映画されたら切々とした後味のある映画になるだろう。その時の配役はこうなるだろうな」などと考えながら読み進めていた。
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# by maru33340 | 2018-06-03 06:20 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2018年 05月 31日

ホロヴィッツの弾くスカルラッティは

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久しぶりにホロヴィッツの弾くスカルラッティのソナタを聴く。

学生の頃はその魅力に気づかなかったスカルラッティやラモーの音楽の面白さに目覚めたのは10年程前のこと。
確か小川洋子さんの小説『やさしい訴え』で語られていたラモーの音楽に興味を持ったから。

一見軽やかなその音楽に潜むどこか不穏で深い湖の底を覗きこむような深淵がふいに現れるのを感じてから、折に触れてその音楽を聴くようになった。

それはホロヴィッツがスカルラッティの音楽について語ったこんな言葉からも感じることが出来る。

「この音楽は、宮廷的なものから粗野なものまで、甘い優美さから苦い厳しさまでを含んでいる。その陽気さは、一抹の悲劇的な気分の低流のために一層激しいものになる。瞑想的なメランコリーを打ち破って、時折オペラ的な情熱の外交的な気分が押し出してくる」

スカルラッティの音楽の複雑な味わいをとても良く表現した言葉だし、彼の弾くスカルラッティはまさに上の言葉を体現しているようです。
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# by maru33340 | 2018-05-31 06:59 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)
2018年 05月 27日

驚くべき「ダフニスとクロエ」

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最近クリュイタンス指揮によるラヴェルの「ダフニスとクロエ」全曲を聴き、組曲ではない全曲版を聴く喜びに目覚め、フランスの指揮者フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクルによる新しい演奏を聴く。

これは驚くべき演奏だった。

冒頭極めて微かな響きの中、フルートによる旋律が聴こえ、遥か彼方から合唱の声が聴こえてくる瞬間身体は遠い古代に連れ去られる。
その幻想的なこと。(録音も素晴らしい)

初演時の楽器による演奏は透明な空気感を持つと共に、力に満ちた激しい推進力も備えて、まるで初めてこの曲が演奏される瞬間に立ち会っているような新鮮な喜びを感じる。

しばらくフランソワ=グザヴィエ・ロト(発音しにくい)という指揮者の演奏を追いかけることになりそうです。
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# by maru33340 | 2018-05-27 07:33 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2018年 05月 22日

バッハに目覚めた頃

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先日CDを積み上げた棚が崩れた時にマレイ・ペライアの演奏するバッハのパルティータを収めたアルバムも久しぶりに見つかった。

学生の頃バッハの音楽の良さをあまりわかっていなかった僕が、初めて雷に打たれるように突然バッハが好きになったのは、10年程前銀座の山野楽器の視聴機でこのペライアによるバッハのアルバムを聴いてからだった。

最初の音が響き始めた瞬間周りの物音が消え、それまでどこか取っ付きにくい存在だったバッハの音楽が乾いた砂に水が沁みこむように僕の心に沁み渡った。

ペライアのバッハはたっぷりと豊かで柔らかく美しい歌に満ちていていわゆるバッハのイメーとは違うけれど、当時の僕にはそこが良かった。

この演奏でバッハに目覚めた僕は、以来バッハを終生の友として生きようと思ったのでした。
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# by maru33340 | 2018-05-22 05:35 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2018年 05月 20日

大人のためのラヴェル

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このところラヴェルの音楽にはまり朝晩聴いている。

昨夜ふとラヴェルのピアノ協奏曲も聴きたいと思い「そういえばサンソン・フランソワがピアノを弾いている演奏を持っていたはず」と棚や隠し部屋の山を捜索しても見つからず諦めかけていた時にアンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団によるラヴェル管弦楽曲全集を見つけた。
「そういえばこれも名演だったなあ」とジャケットの裏を見たら(なんと)そこにフランソワによるピアノ協奏曲も含まれていた。

狐につままれたような気持ちでピアノ協奏曲を聴き始めながら、それがあまりに独特な名演だったことを思い出しグイグイ引き込まれていった。

オーケストラによる生気に満ちた冒頭部分にフランソワのピアノが入ってくる瞬間は、ざわざわしたパリの下町の酒場に、長身長髪でひどく色気のある男がふらりと入ってくる姿を店の他の客が息を飲んで見つめている映画のワンシーンを見ているよう。

そこからは彼の独壇場だ。

激しい憧れ、突然の狂気、孤独と鎮静、そして変転してやまない遊び心…

クリュイタンスのニュアンスに満ちた指揮によるパリ管弦楽団のキラキラした音楽の上を、フランソワはスウィングしながら自由自在に飛び回る。

クラシックやジャズの区別はここにはない。
ここには心の底から歌われた本物の音楽だけがあるのだ。

ただあまりに独特で強烈な毒を持った演奏であるが故に、これを聴いてしまうと他のどんな演奏でも満足出来なくなってしまうのが唯一にして最大の問題ではあるけれど…
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# by maru33340 | 2018-05-20 06:58 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2018年 05月 19日

目には青葉 山ほととぎす 初鰹

昨夜から吹いていた強い風は収まり雨もやんだよう。

少し窓を開ければひんやりとした空気の中、鶯や雀の鳴き声に交じり、ふいに「テッペンカケタカ」という一際高い鳥の鳴き声が聞こえた。

この鳴き声は何だったかとしばし考えホトトギスだったと思い出した。

「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」
(山口素堂)

という俳句があるようにホトトギスは初夏を象徴する鳥だったことを久しぶりに思い出しながらも、先日食べた旨い鰹のことが頭に浮かび「今夜は鰹をつまみながらハイボールを飲もう」と(朝から)心に決めた。
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# by maru33340 | 2018-05-19 07:27 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2018年 05月 17日

ラヴェルの弦楽四重奏曲あれこれ

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最近再びラヴェルの弦楽四重奏曲にはまっていていくつかの演奏を聴き比べている。

パレナン、イタリア、ブダペスト…
「どれが一番好きか」と聞かれても「いずれの地もそれぞれ」と『ローマの休日』のオードリー・ヘップバーンのように答えるしかないほど、その味わいは違えどもそれぞれ楽しめる。

学生時代から長く聴いてきたパレナン弦楽四重奏団の演奏は、今聴くとそのポルタメントの使い方など少し一時代前の演奏かなぁと思うけれど、逆にそれがセピア色の写真を眺めるようなノスタルジーを感じさせてくれる。
全体から立ち上る陽炎のような香りはこの団体独特のものでうっとりしてしまう。

イタリア弦楽四重奏団の演奏は何よりその艶やかな音色と歌心が楽しく、音楽を聴くことの喜びを心から感じることが出来る。

そして最近坂本龍一の番組で知り最近入手したブダペスト弦楽四重奏団の演奏は、個性的な四人のロシア人が丁々発止のやり取りを繰り広げて緊張感に満ち、パレナン、イタリアとは全く違う曲のように聴こえる。
しかし、随所にふいに滴るようなポルタメントが聴こえ「そうかこの演奏には苦いだけじゃなく甘味もあったのだ」と思い出すあたりの味わいが楽しい。

最近入手した変わり種はオルランド木管五重奏団による演奏。
フルート、オーボエ、クラリネット、バスーン、ホルンによるラヴェル弦楽四重奏曲は、聴き返す度に随所に新鮮な発見があり、限りなく面白い。
木管楽器の特性からシャープな鋭さという点ではさすがに弦楽四重奏団による演奏にはかなわないけれど、その優しい味わいは聴けば聴くほど気持ち良く癖になってくる。
アレンジの天才だったラヴェルもこの編曲と演奏にはきっと満足するだろうなあ。
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# by maru33340 | 2018-05-17 05:50 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)