不思議な幸福感を与えてくれる小説

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三浦しをんさんの小説『あの家に暮らす四人の女』を読了した。

これは読んでいる間も読み終えた後も不思議な幸福感に満たされる素晴らしい小説だった。

世田谷の善福寺川の側に佇む古い洋館に暮らす鶴代と佐知の親子のもとに、佐知の友人の雪乃と多恵美が住むようになり、女四人の暮らしが始まる。

いくつかの小さな事件は起きるけれど、緩やかに巡る季節の中で時はゆっくり過ぎてゆく。

谷崎潤一郎の『細雪』の枠組みを借りながら、作者は随所に思いがけない企みを施す。
(何故表紙に大ガラスが鎮座しているのかの謎も物語半ばにわかります)

会話の中の巧まざるユーモア、登場人物のキャラクターの楽しさ(同じ敷地に暮らす謎の老人山田一郎も良い味を出している)が相まって、幸せな気持ちのまま物語は進み、読み終えて胸の中に暖かいあかりが灯るような気持ちになる。

この物語の登場人物はしばらく僕の心の中に住み続けるような気がします。
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# by maru33340 | 2018-08-03 07:35 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)

秋きぬと目にはさやかに…

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台風一過。

また暑さが戻ってきたけれど心なしか風が涼しい。
空の青さにも秋の淋しさが交じっているよう。

こんな時はモーツァルト。

今朝はゲザ・アンダのピアノ、 ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカの演奏によるモーツァルトのピアノ協奏曲20番を聴いている。

このモーツァルトの1楽章のカデンツァは、アンダのピアノの清みきった音色と相まってひっそりとした秋の淋しさに満ちていてとても美しい。
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# by maru33340 | 2018-07-30 08:39 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)

初めて作るラタトゥイユ

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ブログ知人から教えて貰ってから作りたいと思っていたラタトゥイユを初めて作る。
白ワインのソーダ割りを飲みながらつまめば気分だけは南仏ですね(^^;
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# by maru33340 | 2018-07-29 19:02 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)

久しぶりの『魔笛』

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今朝は台風の影響で過ごしやすくエアコンがなくても眠れて、久しぶりに快適だなぁと思っていたら明け方いきなり足がつってしまった。
やはり疲れが貯まっていたようだけど、あまりの暑さで疲れていることにも気がつけなかったのかも知れない。

その後(今日は休日なので)二度寝してから起きて、ふと「ドイツ・オーストリア系の音楽が聴きたい」と思い、棚からモーツァルトの『魔笛』(ショルティ指揮ウィーン・フィル演奏)を取り出し久しぶりに聴き始めた。

ショルティはウィーン・フィルを(例によって)グイグイとドライブするけれど、そこはさすがにウィーン・フィル。
決して無機的にはならず、キビキビと歯切れの良い音楽が心地好い。

1969年当時のDECCAの録音技術は素晴らしく、今聴いても臨場感に満ちた瑞々しい音が聴こえる。

暑い間は水のイメージのあるフランス音楽ばかり聴いていたけど、これからまたバッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスらの音楽を楽しめるかも知れません。
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# by maru33340 | 2018-07-28 09:24 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)

秋の気配はひぐらしの鳴き声と共に

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昨日降った雨が少し猛暑を鎮めたようで、今朝は気温も30℃を下回り久しぶりに過ごしやすい朝になった。

窓外からはひぐらしの鳴き交わす声が聞こえる。

僕は子どもの頃からひぐらしの鳴き声が好きで、特に晩夏の夕方その声を聞くと「ああ、もう夏が終わるのだ」という感慨で胸が一杯になった。

今年のこんなに暑い夏の日々の中にも、もう秋が忍び寄っているのだ。
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# by maru33340 | 2018-07-26 04:59 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)

誰にも教えず一人静かに聴いていたい音楽

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最近フランスの作曲家のデオダ・ド・セヴラック(1872―1921)のピアノ曲を初めて聴き、その素朴で夏の木陰を吹きすぎる爽やかな風のような音楽に魅せられ小さな紹介記事をFBに書いた所、学生時代の知人から「セヴラックはオルガン音楽も良いですよ」と教えてもらった。

早速Amazonで検索し、オリヴィエ・ヴェルレというオルガニストによる演奏を頼み昨夜から聴き始めた。

冒頭のオルガン曲の響きはなかなか荘厳でどこかパセティックな音楽で、ピアノ曲の爽やかさとはまた別の味わいだったから、思わず「他にもセヴラックという作曲家がいるのかしら?」とジャケットを見返した。

バッハのオルガン曲の峻厳さとはまた違う色合いで、深く暗めでありながら透明な藍色を感じて、僕はセザンヌの描く水浴する人物像の背景の色合いを思い出し、セヴラックという作曲家の心の深さを思った。

このアルバムの後半にはオルガン伴奏による少年聖歌隊が歌う合唱曲が収められていて、こちらはフォーレの合唱曲を更に素朴にしたような純粋な清みきった水のような音楽。

もしセヴラックが暮らした南仏の街を歩き、ふと目に入った小さな教会の扉を開けてこの音楽が聴こえきたなら、知らず知らずのうちに涙を流しているかも知れない。

この音楽は(出来れば誰にも教えず)一人静かに聴いていたい曲達で(こんなに素晴らしい)セヴラックがまだ世にあまり知られていないのは、セヴラックの音楽を愛する人は皆同じような想いを持つからなのかも知れません。
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# by maru33340 | 2018-07-25 07:41 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)

『LONG WALK』

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1705年晩秋。

20歳のヨハン・セバスチャン・バッハは、当時有名だったディートリヒ・ブクステフーデの演奏を聴くため、アルンシュタットからリューベックまで約400㎞の長い道のりを徒歩で旅行した。

フランチェスコ・トリスターノのアルバム『LONG WALK』のタイトルには、そのバッハの長い旅が背景にある。
このアルバムの中心になるブクステフーデの曲「アリア《ラ・カプリチョーサ》と32の変奏曲」は、後にバッハの「ゴルトベルク変奏曲」に影響を与えた。

当時の世俗旋律《キャベツとカブラ》による変奏曲は、自由で変幻自在な味わいでまるでジャズの即興演奏のよう。

録音もとても良く、暑い日の昼下がりに聴いているととてもリラックスした気持ちになります。
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# by maru33340 | 2018-07-21 22:06 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)

追悼 橋本忍

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今週の月曜日、黒澤明監督作品『七人の侍』を映画館で観て、3時間を越える長丁場を全く退屈することなく見せてくれる物語の完成度に改めて驚いたばかりだった。

その作品の脚本家の橋本忍氏が昨日百歳で逝去されたとの報を聞き呆然としている。

橋本忍氏は黒澤明の作品の脚本を数多く手掛け、他にも無数の傑作があるけれど、僕が一番印象的なのは『砂の器』。
映画が原作を超えた稀有な作品だと思っているけれど、その成功の最大の要因は橋本忍氏の脚本にあると思う。

黒澤明、橋本忍、早坂文雄、三船敏郎、志村喬…日本映画全盛期の時代の映画人はなんと骨太で熱く美しかったことか…
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# by maru33340 | 2018-07-20 19:23 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)

早坂文雄の音楽

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先日、映画『七人の侍』を観ながら早坂文雄の音楽の素晴らしさに改めて感じるものがあり、41歳の若さで早世したこの作曲家の作品を聴いてみたくなった。
幸いピアノ協奏曲等を収めたアルバムがあったのでAmazonで頼み昨夜から聴き始めた。

これはなかなか興味深い音楽で、冒頭は『七人の侍』の音楽のように、少しウエットな日本的情緒に溢れた旋律から始まり、ピアノが入ってくる所はブラームスのピアノ協奏曲のよう。
それでいてどこかラヴェルの音楽を思わせる透明感もある。

早川はこの曲について「人間の哀切さ、誠実さを、詩情を通して大きな発想をもって描き出したかった」と語っている。

この曲は戦後間もない1948年(早川34歳の時)に初演されているから、日本人の戦争からの心の復興への願いが込められているのかも知れず、聴き返す度に様々な表情を見せてくれるようです。
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# by maru33340 | 2018-07-20 07:34 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)

蘇る『七人の侍』

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今日もやはり暑いけど、映画館の大きなスクリーンでゆっくり物語の世界に浸りたい気分だったので、浜松のMOVIXまで4Kデジタルリマスター版の『七人の侍』(1954年、黒澤明監督作品)を観に出掛けた。

テレビやDVDでは何度も観ていたけれど、大スクリーンで観るのは初めて。
4Kデジタルリリマスターによって、映像も音も驚く程鮮明に蘇っていて、約3時間半黒澤明の濃密な世界を堪能した。

前半の七人の侍達の丁寧な人物描写が効いていて登場人物に感情移入出来ているから、後半の野武士の息を飲むような襲撃シーンで何人かの侍が倒される時の哀惜が深くなるし、随所に現れるユーモアが物語に余韻と深みを与えている。

早坂文雄作曲によるストラヴィンスキーの『春の祭典』を更に土俗的にしたような音楽も凄い。

三船敏郎の画面からはみ出る程の野獣のようなエネルギーはやはり唯一無二のものだし、志村喬の人間味溢れた(時に優しくしかしここぞという時には厳しい)集団をまとめるリーダーシップには見習うべき事がたくさんある。

これはやはり小津安二郎の『東京物語』と並ぶ映画史に永遠に残る傑作だなぁと(今更ながら)納得です。
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# by maru33340 | 2018-07-16 15:33 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)

音楽・本・映画などについての私的な感想


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